実施概要・依頼背景
プロの写真家2名を迎えた、7日間のオーダーメイドフォトツアー
アメリカの旅行会社「Wandering Earl Tours」からの依頼を受け、初めて日本を訪れるゲスト2名のオーダーメイドフォトツアーを企画・手配しました。
世界各地で撮影旅行を重ねてきたお二人には、明確な希望がありました。
- 観光客で賑わう東京や京都などの「定番ルートとは異なる場所」で、日本のリアルに触れたい。
- 自然や暮らし、職人の仕事、地域に根づく文化を、自分の目で見て撮影したい。
その希望に応えるため、静岡県西部を中心とした旅を提案しました。
茶畑や田んぼ道、工房、地元の食堂、地域の祭りなどを巡り、撮影と交流を楽しむ7日間となりました。
| 実施期間 | 2026年9月28日〜10月4日(7日間) |
|---|---|
| 依頼元 | アメリカの旅行会社「Wandering Earl Tours」 |
| ゲスト | アメリカからの初来日ゲスト2名 (※世界各地で撮影旅行を重ねてきた、プロの写真家による撮影旅行) |
| 滞在先 | 葛城 北の丸(袋井市)に6泊 |
| 訪問地域 | 静岡県西部を中心(森町、掛川市、袋井市、磐田市、浜松市、御前崎市、焼津市、静岡市) |
| 当社担当 | 旅程企画、移動手配、訪問・撮影の事前調整、英語での同行案内、天候や希望に応じた行程変更、帰路の乗車券手配・乗り換え案内 |
| 同行 | 鈴木利岳(シダックスタジオ代表、日英バイリンガル) 西端友基(スタッフ、アシスタントとしてサポート) |

天竜浜名湖鉄道、遠州森駅

大乗院 三仭坊(磐田市)

同笠海岸(袋井市)

小國神社(森町)
世界を撮影してきた写真家が求めた、日本のリアル
依頼元のWandering Earl Toursとは、以前から取引がありました。シダックスタジオが運営する「東京・京都の写真ツアー」に、これまで3度ほどお客様を送っていただいています。その際の評価が高かったことから、今回の旅程企画・運営の相談につながりました。最初のお問い合わせは、ツアー実施の約9か月前です。
今回のゲストが求めていたのは、「観光地化されていない場所で、日本の暮らしや文化に触れること」でした。一方、旅行会社側では、東京・京都・金沢などの定番以外の地域情報が十分になく、希望に合う旅を組み立てることに課題があったといいます。
そこで、当社が拠点を置く静岡県西部を中心とした旅を提案しました。東京と京都の間に位置し、旅程に組み込みやすいことに加え、神社、寺院、職人、飲食店などとのつながりを活かせる地域です。
まず旅行会社の要望を伺い、大まかな企画を提案。旅行会社からゲストへ紹介していただき、「この旅行に行きたい」と参加の意向が決まった段階で、具体的な計画づくりに進みました。
詳細を詰める調整期間は、約3か月でした。その間、旅行会社の担当者と3度ほど微調整を重ね、旅程を確定しています。
地域での受入に向けて、弊社が担ったこと
ゲストの関心に合わせた旅程づくり
自然、暮らし、職人、文化という希望を、具体的な訪問先や体験に落とし込みました。
滞在拠点は、袋井市の葛城 北の丸です。連泊しながら町、山、海へ日ごとに足を延ばし、さまざまな風景を撮影できる構成にしました。
写真家のお二人にとって、移動中に出会う景色も大切な被写体です。一つの場所でじっくり過ごせるよう、撮影の時間を意識した行程を組んでいます。
地域の方との事前調整
当初は、地域の方々が今回のツアーをどの程度受け入れてくださるか、不安もありました。
実際に相談すると、ご協力いただいた静岡県西部の事業者の皆さんは、とてもオープンで協力的でした。「自分たちの町を外に発信していきたい」という思いもあり、企画を前向きに受け止めてくださいました。
その背景には、当社の事業の一つである映像制作などを通じて築いてきた関係があります。これまでの仕事で地域の方々とつながってきたことが、今回の訪問相談や受入にもつながっています。
こうした関係をもとに、工房への訪問や制作風景の撮影、寺院での護摩祈祷、老舗店内の撮影を事前に相談しました。祭りでは、地域の方の橋渡しによって、屋台関係者との交流や間近での撮影も実現しています。
今回の受入を支えたのは、個別の訪問調整と、日頃の仕事で積み重ねてきた地域との信頼関係です。
英語での同行案内と、現場での判断
バイリンガルである代表・鈴木利岳が同行し、ゲストの希望を確認しながら、地域の方との会話や交流を支えました。
撮影を目的とする旅では、天候や光、被写体への関心によって、必要な時間が変わります。お二人の体調や撮影への集中を見ながら、訪問先や滞在時間をその場で調整しています。
気に入った場所では長く撮影し、晴れた日には海や富士山を見に行く。その日に出会った風景や、旅の途中で生まれた希望を大切にした案内です。
実施レポート(7日間)
午前10時30分、東京・京橋でゲストと合流。新幹線で掛川へ向かい、駅で専用車のドライバーと合流しました。
昼食は「地元のラーメンが食べたい」という希望に応え、「聖夜(ノエル)」へご案内しました。この日は事任八幡宮と粟ヶ岳を訪れています。
粟ヶ岳へ向かう道中では、斜面に広がる茶畑にお二人が強く惹かれていました。車を止め、熱心にカメラを向ける姿が印象に残っています。
山頂は霧に包まれ、遠くの景色は見えませんでした。一方、神社には神秘的な雰囲気が漂い、お二人はここでも撮影に夢中でした。
横須賀の古い町並みや掛川城も訪問候補でしたが、この日は粟ヶ岳で時間を取ることにしました。午後4時頃に葛城 北の丸へお送りし、夕食はホテルで楽しんでいただきました。

世界農業遺産 茶草場農法による茶畑(掛川市)

阿波々神社(掛川市)
國神社へ向かう途中、田んぼ、柿、車屋さんなど、何気ない風景にお二人の目が留まりました。
通常なら車で約10分の道のりですが、撮影を重ね、移動に約1時間。地域では身近な景色が、お二人には新鮮な被写体として映っていたようです。
小國神社ではご祈祷を受け、境内でもじっくり撮影。その後、事前に訪問を相談していた森山焼の静邨陶房へ向かいました。
工房では制作風景を撮影し、職人さんと会話を交わしながら作品に触れていただきました。地域の方との直接の交流を喜ばれ、お土産も購入されています。
続いて大洞院を訪問しました。この日も撮影時間を優先して行程を調整し、夕食は葛城 北の丸で楽しんでいただきました。

田園風景(森町)

森山焼の静邨陶房(森町)
午前9時にホテルで合流し、油山寺へ向かいました。境内の小川、竹、鳥居など、一つひとつの風景を丁寧に撮影され、滞在は約3時間に及びました。寺院の内部も拝見しています。
炭焼きレストランさわやかで昼食後、磐田の大乗院 三仭坊へ。住職に事前調整していただいたプライベートの護摩祈祷を体験し、祈祷中の撮影もさせていただきました。
お二人からは「一生忘れない体験」と喜びの言葉がありました。住職のご好意で日本刀も拝見し、会話や質問を通じて交流を楽しんでいました。
ホテルで休憩した後、夜は回転寿司へご案内しました。さらに「ウイスキーを飲みたい」という希望があり、掛川のシガーバーで葉巻とウイスキーを楽しむ夜となりました。

プライベート護摩祈祷(大乗院 三仭坊)

先代住職に日本刀を見せてもらうゲスト(大乗院 三仭坊)
それまでの雨についても、お二人はしっとりした写真が撮れると喜んでいました。この日は快晴です。海と富士山を見たいという希望に合わせ、予定していた山間部の行程を変更しました。
御前崎灯台で海の景色を楽しみ、焼津ぶしうどん しょうた 焼津本店で昼食を取りました。鰹節を扱う作業風景にも関心を寄せていました。
用宗漁港では船と富士山を撮影。初めて見る富士山に感動されていました。その後はWest Coast Brewingでクラフトビールを楽しみました。
帰路には、お二人の希望で粟ヶ岳を再訪しています。道中の茶畑や茶草場農法の風景、初日の雨や霧とはまったく異なる晴天の景色に、再びカメラを向けていました。
夕食は葛城 北の丸で楽しんでいただきました。

御前崎灯台(御前崎市)

粟ヶ岳世界農業遺産茶草場テラス(掛川市)
遠州森駅で駅構内や列車を撮影した後、車で遠江一宮駅へ移動しました。駅に併設された蕎麦店「百々や」で撮影し、そこから列車で天竜二俣駅へ向かいました。
車窓に広がる田んぼや民家にも興味津々で、ローカル線の旅を楽しんでいました。天竜二俣駅では転車台ツアーに参加し、鉄道施設や歴史を伝える展示を見学・撮影しています。
昼食は磐田市のとん汁桝形へご案内しました。並んだ小鉢のおかずから好きなものを選ぶ食事スタイルにも驚いていました。
午後は森町の柏屋を訪れました。約150年の歴史を持つ店の大将に相談し、営業開始前の店内を撮影させていただきました。
壁、置物、畳、古いガラス越しに差し込む光など、店内にはお二人の関心を引くものが多くありました。写真家でもある大将との交流も、印象的な時間となりました。
ホテルで休憩した後は、夕日を撮りたいという希望に応えて同笠海岸へ向かいました。帰りには袋井のラーメン店へご案内しています。

天竜浜名湖鉄道、遠江一宮駅(森町)

150年続く奥座敷、柏屋(森町)
久能山東照宮へはロープウェイで移動し、見学と撮影を楽しんでいただきました。それまでの静かな訪問先とは異なる観光客の多さに、驚く場面もありました。
三保松原では、人の集まる場所から少し離れると、静かに過ごせる空間がありました。お二人は松林の中で、周囲に人がいない時間を楽しんでいました。
続いて、府八幡宮例大祭を訪れました。三仭坊の住職が屋台関係者へ撮影の希望を事前に伝えてくださり、屋台の間近での撮影や、地元の方との交流が実現しました。
夕食は海鮮亭いっきへご案内し、葛城 北の丸へお送りしました。

大乗院 三仭坊のご厚意で祭典を撮影させて頂くゲスト(磐田市)

府八幡宮例大祭(磐田市)
最終日は、ドライバーとともにゲストを葛城 北の丸から掛川駅へお送りしました。
成田空港からの帰国に向け、新幹線と成田エクスプレスの乗車券も用意しています。品川駅での乗り換え方法を、ご自身で移動できるようご案内し、掛川駅でお別れしました。

弊社スタッフが掛川駅でお見送り(掛川市)

弊社スタッフと食事するゲスト(さわやか、袋井市)
訪問先・利用施設一覧
- 自然・景観: 粟ヶ岳(掛川市)、御前崎灯台、用宗漁港、三保松原、同笠海岸
- 神社・寺院: 事任八幡宮、小國神社、大洞院、油山寺、大乗院 三仭坊、久能山東照宮
- 工房・文化体験: 森山焼の静邨陶房、府八幡宮例大祭
- 鉄道: 天竜浜名湖鉄道(遠州森駅・遠江一宮駅・天竜二俣駅)
- 飲食・店舗: ラーメン店「聖夜(ノエル)」、炭焼きレストランさわやか、焼津ぶしうどん しょうた 焼津本店、West Coast Brewing、百々や、とん汁桝形、柏屋、海鮮亭いっき、回転寿司店、掛川のシガーバー、袋井のラーメン店
- 宿泊: 葛城 北の丸
【知見】今回の受入から見えた、3つのこと
以下は、今回のゲスト2名の受入を通じて得た知見です。
シダックスタジオは、こうした現場経験を積み重ね、地域の体験づくりと受入に活かしていきます。
地域の日常も、旅の目的になり得る
今回のお二人は、有名な観光地に加え、田んぼ道、茶畑、職人の仕事、地元の食堂などに強く関心を示しました。
地域の人にとって日常的な風景や営みも、訪問者の関心に合えば、時間をかけて滞在する理由になり得ます。その価値を見つけるには、訪問者の希望を聞き、現場での反応を見ることが大切でした。
体験を実現するには、地域と訪問者をつなぐ調整が必要
魅力的な場所があることと、ゲストを受け入れられることの間には、調整の仕事があります。
今回も、訪問や撮影の事前相談、移動手配、英語対応、当日の時間調整によって、体験を実現しました。受入先との関係を築き、双方の意向を確認しながら進めることが重要でした。
滞在が、地域の事業者との接点を生み出す
ゲストは葛城 北の丸に6泊し、各地の飲食店、工房、鉄道などを利用しました。工房では作品を購入し、食事ではその日の希望に合わせて地域の店を訪れました。
今回の事例では、撮影や交流を楽しむ旅が、宿泊・飲食・買い物・交通利用につながりました。
地域のインバウンド受入を、具体的に進めるために
- 地域のどんな資源が、外国人旅行者の体験になるのか?
- 訪問先との調整や、英語での対応をどう進めるか?
- 企画した体験を、実際に受け入れられる形にするには何が必要か?
シダックスタジオは、地域での企画・調整と、ゲストに同行する現場経験を活かし、自治体・観光協会・地域事業者の皆さまと受入の方法を考えます。
静岡県西部を拠点に、県内各地域での体験プログラムの企画、地域事業者との調整、現地手配、英語対応など、構想段階からご相談ください。

